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| トップページ > まちづくり啓発事業 > まちづくり講座 > 平成16年度まちづくり講座(基礎コース) | ||
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| ●久先生の総評 | ||
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| 1.はじめに | ||
| どうもお疲れ様でした。 今日はみなさんのお話を聞かせていただきましたけど、そこから共通のキーワードがいくつか出てきたと思います。そのあたりを考えながら、今日はお話したいと思います。 その前に少し私についてお話します。 私は、ハードなまちづくりにも携わっています。実際に自分がお手伝いした地域でハード整備がなされたまちもあります。今回の講座ではそういうことを一切言いませんでした。そのあたりを少しお話したいと思います。 みなさん、レストランに料理を食べに行った時、どのように注文されますか? 注文方法としては、一つはシェフのお任せメニューがありますよね。これは、何にも考えなくてよくて、出てくる物をそのまま食べればいいんです。でも、まずい物を出されようと、嫌いな物を出されようと文句を言うたらあかんのですよ。で、もう一つは自分でメニューから食べたいものを選択するという方法ですよね。皆さんはどっちが良いですか、という問いかけです。 私は、どちらにでも対応させていただきます。でも、シェフのお任せメニューを注文した人が、後から「まずい。」とか「こんなものは食べたくなかった。」とは言わんといてほしいんです。私は「お任せメニューですか。」「それとも何かご要望がありますか。」とまずお聞きします。聞かせていただいて、そのまちの方が望んでおられることを頭に入れながらご提案させていただくように自分では努めています。ですから、一年、二年とまちづくりをお手伝いさせていただくうちに『あそこのまちの人たちはこういう方向を望んでいらっしゃるのかな』とわかってきて、徐々に「こういうのはどうですか。」とか、「全国的にもこんな事例がありますよ。」とお示しするようにしています。実は、今日の話もそうです。第1講でもお話しましたが、まずはみなさんのお話を聞かせていただいて、それに沿った話をできるだけするようしています。「勝手に自分でしゃべらない」というのが私が大切にしていることです。 |
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| 2.各班の発表を振り返って | ||
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皆さんの発表を聞かせていただいて二つの共通したキーワードがあると思いました。 |
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| [2班] | ||
| まず2班です。「共同集配」という話が出ました。それから、天満宮と商店街をつなげていこうという話が出ました。2班は、つなげていく、一緒にする、ということに着目した発表だったのかなと私は理解しました。この「共同集配」については、いくつかの商店街で試みようとしています。私がお手伝いしている豊中駅前の商店街に、集配を共同にして、1つのトラックでいろんな店の集配をした方が効率的だし、車の数も減るしということで、話を持ちかけていますが、なかなかうまくいきません。それぞれ、来てほしい時間帯が違っていたり、あるいは、誰がどのようにトラックを雇うのか、その費用分担をどのようにするのか、口で言うほど簡単にはいかないのですね。これはまちづくりにも言えると思います。協調する方が良いに決まっているわけです。個々に別々にやるよりも、協働したり、協調してやった方が、ある意味で効率的な場合も多いのですが、それがなかなかうまくいかないのは、やっぱり利害の問題であったり、だれが費用負担をするのか、等いろんな問題が引っかかってくるからだと思います。でも、それを何とか頑張ってやってほしいと思います。 これから考えていただきたいのは、つなげるためには誰がどのように動いたらいいのだろうか、あるいは、利害調整などをどうすれば良いのだろうかということを、実際に知恵を巡らせておもしろい方法が出てくれば、より実現に向かうのではないかなと思って聞かせていただきました。 |
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| [4班] | ||
| 4班は「歩く」ことと「卸を活かしたまちづくり」を中心にご提案されたと思います。 今からお話するのは4班の発表とストレートにはつながらないのですが、卸売業自体が今、日本の経済の仕組みの中で人気がなくなっているということです。なぜかというと、ユーザーがメーカーに直接注文をして、自分の好みの物を取り寄せられれば、それが一番経済的には効率が良いわけですね。間に挟むものがあればあるほど、マージンが取られますし、非効率になってくるのです。最近では、そういう仕組みがどんどんできあがってきて、今、その中間にいる人たちの仕事がどんどんなくなりつつあります。一つ典型的な話は、パソコンにBTO(Built To Order)というのがありますね。ネット上で自分が注文したいスペックを全部書き出して、直接メーカーに注文すると自分が欲しいパソコンが直販で手元に届きます。電気屋さんは要りません。これはとても効率的なのですが、そうなってきたら、小売店とか卸売業、特に卸の人たちが一番ピンチなのです。卸の人たちが生き残る方策がないかということを私も考えてきましたが、卸の人たちが生き残る方策が1つあるとしたら、それは、コーディネートという力ではないかと思います。 喫茶店を例にします。いろんなメーカーからのいろんな品物を集めてパッケージにしたものを、喫茶店へ届けるわけです。そこで求められる能力は、『ここの喫茶店にはこういうパッケージングでお届けすれば、マスターの要望にあう』とか『ここの地域だったらこういう売れ筋があるので、こういうパッケージングがいいじゃないか』と提案ができることです。つまり付加価値をつけることが生き残りの一つのポイントだと思うんです。これは他業種にも言えることですが、このようにコーディネートをしたり、いろんなものをパッケージングしたりする能力が付加価値になる思います。 ちょっと話が脱線しまが、情報社会になって、いろんな情報が誰でも簡単に集められるようになりました。インターネットにアクセスすれば、簡単に世界中の情報を集められるんですね。そのときにその情報に付加価値をつける方法は何かというと、情報と情報をつないで新しい情報に仕立てていくことなんです。例えば、私たち大学の教員やまちづくりの専門家はとても困った状況に陥っています。何かというと、昔、あまり市民の皆さんが海外の状況とか全国の事例を知らなかった頃は、ちょっと見てきて、ちょっと情報を流せば「あっ、すごいこと知ってはる先生やなあ」となったわけです。ヨーロッパにちょっと出かけて、パシャパシャと写真を撮って、スライドを見せながら「パリでは今こんなことをしています。」「おーすごいなー。」というようなことで飯が食えたわけです。今、そんなこと全然通用しません。インターネットで調べれば全部わかりますし、みなさんの方が海外に出かけていっておられますから、私が一週間パリで見てきたことをスライドで見せても「先生、そんなんなぁ、私一年住んでいたから私の方がよう知っているよ。」という一言で終わっちゃうんですね。そのとき、我々が生き残りをかけて何をしなければならないかというと、ある情報とある情報を組み合わせるとこんなことが言えます、というような「つなぎの能力」あるいは「編集の能力」ではないかと思うのです。 実はまちづくりとか卸売業者も同じような能力が問われているのではないかなと思います。ちょっと、4班の話から色々なところに飛躍しましたが、卸売業者が元気になるまちづくりというのは、ひとつは卸売業者さんが持っているコーディネーター力、情報編集能力、こういうものをいかにまちづくりに活かせるかということだろう思うんですね。単に物を中継するだけの業者は生き残れないというのは当たり前だと思います。 |
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| [1班] | ||
| 1班の提案でおもしろいなと思ったのは、一つは「まち歩きを地元の人にしてもらう」ということです。私もそう思います。みなさんも、できれば自分が今暮らしているまちの中で、仲間を集めてまち歩きをすると新たな発見が出てくると思いますので、地元でも応用していただきたいなと思います。もう一つは「あきないまち」という言葉です。実は前の講座で天神橋筋商店街の土井さんが同じ話をしておられました。まちづくりをされている方は、こういう駄洒落というか、キャッチフレーズをつくるのが非常に上手いと思いますね。私がお付き合いしているまちづくりのメンバーさんのお話を2つ紹介したいと思います。 まちづくりっていうのは木と一緒や。枝葉を払ったら大きくならへんで。 ある町で、こんな話を聞きました。 まちづくり活動を始めた時に、リーダーさんが自分の話を押し通すものだから、自分の話と違うところをどんどん切り捨てていったわけです。その方が、一本筋が通りますから。でもある時に、その枝葉として切り払われた意見の持ち主がどんどんどんどん不満をためていって、最終的には「このまちづくり、おかしいで」という話になったのです。やがてリーダーさんが変わり、新しいリーダーさんのもとで新制グループができました。そこでのお話が「まちづくりというのは木と一緒や。枝葉を切り払ったらやっぱり大きくなれへんで。枝葉があってこそ幹が大きくなるんや。」だったのです。 |
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| [5班] | ||
| 今日、5班の方々が大激論をされていましたが、それがとっても重要ということです。違う意見を切り捨てれば切り捨てるほど、本当は一つになるように見えるけど、それでは幹が大きくなれへん。いろんな人、いろんな意見があってこそ幹が太くなるんや、というようなキャッチフレーズでした。 利には利を、理には理を もう一つ紹介します。 「利には利を、理には理を」とおっしゃいました。どういうことかと言いますと、利益を求める人にはやはり利益で説明しなければわかってもらえない、理屈で理解しようとする人には理屈で返さないとわかってもらえない、それを間違ってはいけないということです。利益を言っている人に理屈で迫ってはいけないということです。逆もしかりです。相手さんがどうやったら納得するかということをリーダーさんはしっかり見抜いてその人に合わせて話を展開しない限り、話はかみ合ってこないですよと言うことを「利には利を、理には理を」とおっしゃいました。 こういう、まちづくりのキャッチフレーズ集を作ったらおもしろいなと個人的に思っています。共通の姿勢や考え方をわかりやすい言葉で整理できたら良いのになぁと思います。 5班はやっぱり多用な意見を言い合ったことが良かったのではないかなと私は思っています。 |
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| [3班] | ||
| 3班のお話で私が注目したのは「手作り」というキーワードです。手作りにはいろんな意味がありますが、発表にありましたが『無理のない範囲でちょっとしたところからはじめられる』というのが「手作り」の良さではないかなと思います。今までは、大きな物を莫大なお金を使って動かすということが多かったのに対して、3班のご提案はそうではなくて小さな物の積み重ねでまちを動かしていこうというご提案ではなかったかなと思います。これからのご時世では大切なことではないかなと思います。 | ||
| 世界で、まちづくりの動きがどうなっているのかということ少しご紹介したいと思います。 詳しくは、帰ってからインターネットで調べていただきたいと思いますが、一つはアメリカの建築家が何人か集まって宣言したアワニー原則です。アワニーというのはカリフォルニアのホテルの名前なんですが、ピーター・カルソープという建築家を中心とするグループが、このアワニーというホテルに集まって宣言文を出しました。このアワニー原則というのがアメリカのまちづくりの現状を指し示してくれています。今アメリカの建築家たちがどういうことを考えながらまちづくりを行っているのかということがわかっていただけると思います。 次に、ヨーロッパですが、都市計画家たちが集まって「新アテネ憲章」というのを出しています。この前オリンピックが開催されたアテネです。「新アテネ憲章」がヨーロッパ側の都市計画とかまちづくりの動きを表している一つだと思います。新アテネ憲章というと、その前にアテネ憲章があったと言うことですね。アテネ憲章は1920年代に出されています。この1920年代に出されてきたアテネ憲章は時代もそうであったようにかなり近代的・機能的な都市計画をしようという提案でした。けれども、新アテネ憲章は21世紀のまちづくりですから、前のアテネ憲章の反省も込めて、当時とは違うまちづくり・都市計画の動きをしようという内容になっています。 このアワニー原則と新アテネ憲章には共通したキーワードがあります。一つはサステイナブル、つまり、環境に優しい、持続可能な開発をしようということです。アワニー原則では特に強調されていますが、まちづくりを大きく歪めているのは自動車利用の増大であるというところから提案はスタートをします。自動車をできるだけ減らしていくことによって、まちづくりの方向性あるいは都市計画の方向性が大きく変わってくるだろうということです。 各班の議論を聞いていますと「大きな道が地区を分断している。これさえなければもっとつながっていくのに。」という話を何度か耳にしました。大きな道は何のために必要か、自動車のためですね。先程「歩く」というキーワードが共通しているのではないかと言いましたが、自動車のためのまちづくりをするのか、人が歩けるまちづくりをするのかで方向性はかなり違います。 今まで、この数十年のまちづくりは自動車のためのまちづくりであったと私は思っています。だから、自動車をやめることで、まちづくりの方向性が大きく変わるのではないかと思います。私事になりますが、こんな偉そうなことを言っている私が自動車をブイブイ乗り回していたら説得力に欠けるので、5年ほど前からよっぽどのことがないと自動車は使わないように頑張っています。これだけ飛び回っていますからたまには自動車でしか動けないこともあるのですが、できるだけ公共交通機関を使おうと頑張っています。それは何故かというと、自動車のためのまちづくりをすると、人のためのまちづくりにならないということなんです。これをアワニー原則でも新アテネ憲章でも大切にしています。 もう一つの共通点は、コミュニティです。両方の提案の中で非常に強調されています。コミュニティのつながりをもう一度見つめ直そう、そして、そのコミュニティのつながりでまちづくりを進めていこう、というようなことが言われています。逆にまちづくりをうまく仕掛けることで、あるいは都市計画をうまく仕掛けることで、コミュニティが向上するようなことを考えていこうというのがアワニー原則でも新アテネ憲章でもうたわれています。 ですから、今回、皆さんがご提案された内容は、この21世紀型のまちづくりとほとんど同じ考え方なんです。ヨーロッパでもアメリカでも先進的といわれている事例の中には、もうすでにいくつかのまちで、自動車に頼らないまちづくり、あるいは、コミュニティの力を強めるようなまちづくりというのがなされていますので、インターネットで検索いただいて、参考にしていただければと思います。 |
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| 4.元気な人のネットワークづくり | ||
| 大阪商工会議所に都市活性化委員会というのがあり、私はそこのメンバーなのですが、大阪を元気にしたいと頑張っています。今の会長は錢高組の社長(錢高さん)ですが、私が5年ほど前に錢高さんと話をさせていただいたときに、「社長、もう絵を描くことをやめましょうよ。今まで十何年、いやもっと、二十何年かな、いっぱい絵を描いています。こんなまちを作ったら、ここをこう開発したら大阪のまち元気になるのにと。元気になっていますか?元気になっていませんね。絵を描いたうちのどれだけ実現していますか?あまり実現していないですね。絵を描いてもしゃーないやないですか。」と言いました。社長も「そうやな。」と同感され、では今何をやっているかというと、元気な人のネットワークづくりをしています。北堀江とか、空堀とか大阪には元気なまちがいろいろありますが、その仕掛け人さんたちが横につながって、さらに元気をアップしていくというものです。別々に動くのではなくて、みんながそれぞれ動いている活動に一緒の冠をつけて、どっとPRすれば、一つのつながりとして見えてくるんじゃないか。難しいことを考えなくても、共通の冠をつけてやるだけでまとまった雰囲気が出てきます、そんな仕掛けもしていますというお話でした。 | ||
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| 5.さいごに | ||
| 最後にみなさんにお願いしたいことは、まちづくりをする時に「言う人」と「聞く人」の両方がいますと講座の冒頭にお話させていただきました。最終講に望むにあたって、あるいは、地元に帰って自分がまちづくりの核の一人として動く時に、「言う人」になるのか「聞く人」になるのか、皆さんはどっちなのでしょうか。私は是非とも「聞く人」になって欲しいと思います。そして、いろんな「言う人」をいかにつないでいけるか、ということを担っていただきたいと思います。 1ヶ月ほど前の話ですが、富田林市にある滝谷不動駅前のまちづくり協議会の方とお知り合いになり、相談に乗ってほしいと言われました。そのときに私は「皆さんのやり方は、従来型のまちづくりではないですか。」とかなりきついことを申し上げました。従来型とはどういうことかというと、何人かの役員さんが集まってもうすでに滝谷不動の駅前をこうしよう、商店街をこうしよう、まちをこうしようと絵を描いて、「協議会でまとまりました。さあ、これでどうでしょう。」とみんなの話を聞く前に言ってしまうんですよ。そうしたら「あいつらちょっとちゃうぞ。」となって仲間の輪が広がらない。そこで、相談に来られたわけですね。そのときに、「こうこうこういうやり方していませんか。」と話をしたら、「なんでそんな話、先生見てないのにわかるのですか。」と驚いていらっしゃいました。なので、根本的に変えたら仲間が広がりますよということで、先月あたりから、まずは住民さんが集まって、意見を聞く会を月1回始めようということになりました。先月、初めてやったのですが、まぁ、いろんなことを言いに来られました。最初はそれでいいじゃないですか。これだけ、まちの中に色々な想いを持ってらっしゃる方がいることが明らかになった。そしたら、徐々にその意見を一つにしていくための努力・仕掛けを考えていけば、まちづくり協議会としてもまちのために活躍できるのではないですか。ということで、いま滝谷不動のみなさんと一緒に活動を始めたところです。 という具合に、私はお呼びがかかったらすぐに行っちゃうのでなかなか夜が忙しいのですが、もしみなさんがまちに帰られてちょっと困ったなということがありましたら、お気軽に相談して下さい。私ができることがあれば、一緒にご協力をさせていただきながらまちづくりを進めていきたいと思いますので。 最後に、頑張って下さいというのは他人事ですので、一緒に頑張りましょうということで私の話を締めくくらせて頂きたいと思います。 どうもありがとうございました。そして、どうもお疲れ様でした。 |